アウトソーシングサービスとは
・アウトソーシングとは?
アウトソーシングとは社内の業務の一部を人材やサービスを第三者の企業に委託する経営方法の一種です。英語のoutsourceに由来し、直訳すると「外注」「外部委託」という意味があります。
日本では1990年代に、人材不足の解消や企業内のコスト削減に役立つとして急速に普及しました。
単に人手不足を解消するのではなく、自社内にノウハウがない分野や専門分野などを委託することで経営の多角化を図り、企業としての価値を上げる目的としても注目されています。
・アウトソーシングの歴史
アウトソーシングはもともと、コンピューターシステム分野で生まれた考え方です。1960年代のアメリカで誕生したとされており、急速な事業拡大によって企業の規模が大きくうなる一方で経営効率が悪化したことによる問題が増加していました。最初のアウトソーシングはIT企業のEDS社がプリントレイ社にアウトソーシングしたこととされています。
その後、1989年にコダック社が情報処理部門をIBM社にアウトソーシングしたことをきっかけに、アウトソーシングが広がりました。
アウトソーシングが注目されるようになった背景
・人材不足
日本では少子高齢化が重大な社会問題となっており、労働人口も大幅に減少しており、今後企業にとって人材確保が課題になることが予想されています。また、人材不足を解消するためにも、委託できる業務は外部の力を借りることが有効な手段とされるようになりました。
・働き方改革による業務効率の見直し
近年は働き方改革や新型コロナウイルスの流行により、働き方が多様化しました。さまざまな働き方に対応するには、業務の効率化や時代に合わせた企業づくりが欠かせません。そこで、業務効率を改善するためにアウトソーシングの需要が増えました。アウトソーシングによって本来の業務に集中でき、業務効率の改善につながることが理由です。
アウトソーシングの種類
・BPO
「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略で、主に事務などの業務を発注する種類です。近年特に注目を集めており、単純な事務作業だけでなく周辺業務や付随する業務など、広範囲に対応できます。
BPOは人事や経理などに用いられることが多いです。
・ITO
「Information Technology Outsourcing(インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシング)」の略で、IT関連の業務を委託する意味があります。インターネットの普及により需要が拡大しており、主にPC管理、ヘルプデスクなどの情報システム関連や、セキュリティ関連業務、システム運用業務などITに関する幅広い業務に対応できることが特徴です。
・KPO
「Knowledge Process Outsourcing(ナレッジ・プロセス・アウトソーシング)」の略で、BPOの中でも特に情報の収集や高度な分析、解析等の非定型の知的処理業務を担います。マニュアル化が難しい情報の収集・分析にも対応しており、株式のリサーチ、金融商品の取引、医療開発に対応可能です。
・SPO
「Sales Process Outsourcing(セールス・プロセス・アウトソーシング)」の略で、自社の営業活動を委託することを指します。営業業務以外にも課題の洗い出しや改善・提案などにもなっており、営業に必要な力を底上げできることが特徴です。
アウトソーシングと人材派遣の違い
アウトソーシングと似ているものとして、人材派遣があります。
アウトソーシングと人材派遣の最大の違いは、業務の管理者の立ち位置です。アウトソーシングでは社外に業務を委託し、委託先の業者が管理者になります。一方、人材派遣では人材派遣会社から必要な人材を派遣してもらい、業務の指示や管理は依頼元の企業が行わねばなりません。
賃金の支払いに関しても、アウトソーシングでは委託された業務が完了次第支払うことが一般的ですが、人材派遣では労働時間に応じた賃金の支払いが必要です。
アウトソーシング | 人材派遣 | |
雇用先 | アウトソーシング会社 | 人材派遣会社 |
契約形態 | 業務委託契約 | 労働者派遣契約 |
賃金の支払い方法 | 成果制 | 時給制、日給制、月給制 |
業務の管理・指示 | アウトソーシング会社 | 派遣先の企業 |
アウトソーシングを利用するメリット
・従業員がコア業務に集中できる
アウトソーシングでは、まとまった業務を外部に委託できるので、自社企業の従業員はコア業務に集中できるようになります。質が高い業務を委託できるだけでなく、必要な業務にだけ従業員が集中できることで、企業としての成長も期待できるでしょう。
時間的、人員的な余裕を持つことで、今まで難しかったことへの挑戦もしやすくなり、機会損失のリスクを低減させる効果も期待できます。
・外部の有識者を頼ることができる
アウトソーシング会社はそれぞれ得意としている業務があり、専門知識や最新の情報にも精通しています。そのため、自社内で完結するよりもアウトソーシング会社に委託することで処理速度や業務の正確性が向上する効果も期待できます。
また、専門性が高い分野においても外部の有識者によって新たな気づきや改善につながることもあるでしょう。
・コスト削減効果が期待できる
アウトソーシングを活用することで、本来必要になっていた従業員数の確保、教育、設備投資などが削減できることもメリットです。人件費は固定費になるので、繁忙期や閑散期に関係なく必要になります。しかし、アウトソーシングなら必要な時期にだけ人材を集めることができ、コスト削減効果が期待できるでしょう。
・業務フローの改善が期待できる
従業員は日頃慣れた業務に対して、業務フローが多少複雑であっても疑問を抱きづらい傾向にあります。もし疑問を抱いていたとしても、実際に改善に至るまでには時間や労力がかかり、簡単にはいかないこともあるでしょう。
しかし、アウトソーシングで業務の委託をする際に、業者によっては業務内容の可視化やマニュアル化に対応していることがあります。
これまで改善できていなかった問題点も、改めて見直す機会になり、全体的な業務負担が軽減する効果も期待できるでしょう。
人材派遣を利用するメリット
・人材採用に係るコストの削減
人材派遣 は自社で従業員を採用する際に必要な、書類選考や面接などに時間と手間がかかってしまいます。しかし、人材派遣会社に依頼することで、必要なスキルを持った人が確実に派遣されるので、採用 に比べて手間やコストがかかりません。
また、必要なときにだけ契約することができ、人員数を調整しやすいところもメリットです。
・業務の管理がしやすい
人材派遣では、派遣先の企業で業務内容の指示や管理が行われています。そのため、指示や教育といった手間は多少必要になるものの、直接派遣社員と接することで細かな指示がしやすいこともメリットです。コミュニケーションをとることで、円滑な業務の遂行にもつながるでしょう。
・情報漏洩のリスク管理
派遣先企業で業務の管理をする人材派遣では、業務に必要なパソコンやツールなども自社内で用意しなければなりません。しかし、自社内で用意することで、情報漏洩のリスクを低減させる効果があります。
アウトソーシングに向いている業務
・人事や採用
人事業務はアウトソーシングで委託されることが多い分野であり、主な業務内容は給与計算、労務管理、社会保険関連、研修などが挙げられます。また、採用では人を見極める力が求められ、正確に業務を遂行するには経験が必要です。
しかし、アウトソーシングでは人事に関するノウハウも十分あり、効率を上げながら業務にかかる時間も短縮できます。
・IT
現代社会においてITは企業にとっても重要な存在になっているものの、急激な成長により必要な人材がまだまだ不足しているのが現状です。自社内だけでの人員確保や教育は難しいため、アウトソーシングでの委託が増加しています。運用だけでなく企画や保守などもすべてまとめて委託できるので、社内リソースの確保も必要ありません。
・経理
経理業務は繁忙期と閑散期によって業務量の差が激しく、企業規模によっては固定して人員を確保することが難しいこともあるでしょう。アウトソーシングでは必要な時期に必要な業務だけを委託することができるので、社内の人員を割く必要もありません。
・総務・事務
総務は業務内容が企業によって異なることが多く、事務と同様に細かな対応や業務が発生します。企業にとって必要不可欠な業務ではあるものの、データ入力などの単純作業も多く、社内で完結するには負担が大きいこともあるでしょう。
アウトソーシングでは単純作業以外にも付随する業務への対応もまとめて委託できるので、従業員が純粋に企業の利益となる業務に集中できるようになります。
・コールセンター
コールセンターは人員だけでなく、設備や場所の確保も必要です。そのため、毎月必要になるコストが大きいものの、繁忙期と閑散期で業務量に差があり、安定しません。
アウトソーシングではコールセンターを得意とする業者も存在しており、委託することで対応だけでなく設備や場所の問題も解決できます。
人材派遣が向いている業務
・接客・販売業
接客・販売は店舗やブランドなど企業方針によって対応が分かれます。また、突発的にマニュアル外の対応を求められることもあるでしょう。そのため、派遣社員との連携やコミュニケーションが必要になり、人材派遣におすすめです。また、繁忙期など一時的な増員にも適しています。
・企画開発・研究業務
企画開発や研究業務も、社員間に連携が求められるので人材派遣向きです。コミュニケーションをとりやすいので、議論がしやすく、スムーズな業務ができるでしょう。業者によっては専門スキルのあるスタッフを派遣しているところもあり、即戦力も期待できます。
・マーケティング
マーケティングは企業の経営方針が繁栄される業務でもあり、企業側の指示に従うことが基本です。また、マーケティングは情報管理の徹底が求められますが、人材派遣では基本的に必要なデバイス等を派遣先が用意するので、情報漏洩のリスク管理にもつながります。
・新規プロジェクト
新規プロジェクトの立ち上げは環境の変化が大きいので、契約社員が馴染みやすい時期でもあります。また、立ち上げにはさまざまな業務が必要になり、従業員同士のコミュニケーションが取りやすい環境でなければ進めづらいでしょう。
・データ入力
データ入力はアウトソーシングだけでなく、人材派遣でも重宝されています。業務内容によっては個人情報など厳重な扱いが求められるデータの取り扱いもあり、漏洩リスクを下げられることが理由です。また、変則的な対応が必要になった際にも、従業員に確認しやすいメリットがあります。
アウトソーシングを取り入れる際のポイント
アウトソーシングを取り入れる際には、下記のポイントを意識してみてください。
・課題や目的を明確にする
課題や目的が明確にできず、あいまいな状態での委託はおすすめできません。まずは現状を客観的に見て、どのような課題があるのかを洗い出しましょう。課題はできるだけ明確にしておくことで、目的もわかりやすくなります。また、業務内容が複雑な場合は一連の業務フローから、どこを改善しなければならないのかを考えましょう。
課題や目的が明確になることで、業務委託の打ち合わせ時にすり合わせがしやすくなり、お互いの認識に齟齬が生まれにくくなります。
・委託する業務の選別
まずは業務内容を「コア業務(直接業務)」と「ノンコア業務(間接業務)」を分類します。基本的にアウトソーシングに依頼するのはノンコア業務なので、分類しておくことで委託する業務範囲を明確化できます。
なお、コア業務とノンコア業務は具体的には下記のような定義の違いがあります。
<コア業務>
- 企業の利益に直結する業務
- 属人化しやすい業務
- 業務になれるまで一定期間が必要
- 専門性が高く判断が求められる
<ノンコア業務>
- 利益に直結しない業務
- 標準化できる業務
- 業務になれるまでの時間が不要
- 専門性がそれほど高くなく、高度な判断が不要
・アウトソーシング化の周知
業務の委託が決定したら、次に社内外に対してアウトソーシング化の周知が必要です。アウトソーシング化をすることで社内での役割や業務内容の変化が発生するので、周知が十分でないと思わぬトラブルを起こしかねません。アウトソーシングを利用するのであれば、周知はできるだけ早期にしておくようにしましょう。
・情報漏洩の対策
業務を外部に委託することになるので、業務に必要な社内情報も提供しなければなりません。そのため、情報の扱いについてあいまいなままにしてしまうと、思わぬトラブルにつながるリスクがあります。まずは情報の扱いについて双方で意見を交わし、必要な対策をしておきましょう。
・責任範囲を考える
業務を行なっていくうちに、予期せぬトラブルに見舞われることもあるでしょう。そのため、万が一トラブルが発生した際の責任範囲についても考えておくことが大切です。業務を実際に遂行したのがアウトソーシング先であっても、外部から見れば自社内での問題とみなされてしまいます。事前に責任範囲を明確にしておくことで、早急な対応ができるようにもなるでしょう。
・アウトソーシング会社の選定
アウトソーシングでは自社の情報を外部に渡して業務を委託することになるので、業者の選定は特に注意が必要です。
近年は個人情報保護法により、情報管理の規制が厳しくなり、企業にも厳しいコンプライアンスが求められるようになりました。万が一、情報漏洩が発生した場合は事業だけでなく、企業の存続にも影響するほど大きな問題になりかねません。
委託先には必ず情報漏洩に対してどのような対策をとっているか、対応や体制について調べておきましょう。
・委託先と定期的な情報共有
アウトソーシングによって業務委託をすることで、委託する業務の経験を積む機会が失われるという問題が挙げられます。完全にアウトソーシングで該当する業務を委託する方針であれば問題はありませんが、今後何らかの理由によりアウトソーシングを利用できなくなった際、自社内で委託していた業務を遂行しなければなりません。
そのため、できれば定期的に面談等で情報共有の場を設け、業務のマニュアルや手順について確認をすることでリスク管理につながるでしょう。
アウトソーシングの活用メリット
企業が大きくなるほど、業務が多岐に渡る総務や人事の負担が増えやすくなります。場合によっては本来の業務以外のことも行わなければならず、本来の業務に支障が出る可能性もあります。
アウトソーシングを導入することで、手間がかかる人事部の採用企画や手法、スケジューリングなどを任せることで、スムーズな採用プロジェクトや人材調達環境を構築することが可能です。負担が大きい部分を外部リソースで賄えることにより、選考や社内業務に専念しやすくなるでしょう。
また、導入後にもアウトソーシング会社と面談をすることで、採用企画の立案から実施までの業務フロー改善方法について相談することができます。
特に“技術系等”専門分野に特化したアウトソーシングでは様々な業界や製品の知見有る経験豊富なエンジニアが対応をするので、自社内に新しい視点を取り入れ、根本を見直すこともできる等、業務負荷の改善以外にも多くのメリットが得られます。
スターワークスの対応分野
スターワークスでは機械や電気など技術分野に関するアウトソーシングに特化しています。
技術進歩が目まぐるしい専門技術分野でも最新・最先端の技術力を持ち、幅広いフェーズに対応できることが強みです。
自動車、産業機械、工業用機械、精密機器、家電など、作り上げた実績は豊富です。要件定義、開発、設計、テスト、生産のどのフェーズにおいても、「より効率的に」「より安全に」「より高品質に」を実現させます。
半導体、半導体製造装置やメカトロニクス、精密回路の開発・設計、新技術の応用に関する研究など、多岐にわたるご要望にお答えできます。
家電、自動車制御、搬送機器、大規模プラント、公共インフラ制御など、多種多様な製品を手掛けてきました。利用者が心から便利だと実感できるシステムを追求しています。要件定義、開発サポート、テスト、実装、いずれも対応可能です。
刻一刻と進歩するITの分野で、常に最新技術の導入・運用を模索しています。
既存システムの分析・開発・設計、プロジェクトプランニング、基盤構築、運用・保守など、チーム対応を含む一貫したサービスを提供します。
今後も市場成長が期待される車載・産業用イメージセンサ開発、生成AI向け/次世代通信用、パワー/先端ロジック半導体を軸に全国で約340名のエンジニアが開発を担っています。
金属やセラミックだけでなく、ポリマー、有機物質など多種多様な材料のハイブリッド化を目指した研究を進めています。
様々な分野の基盤技術として期待されるナノテクノロジーの未来に貢献していきます。
進歩が目覚ましいバイオテクノロジー業界で、新たな知見が適切に活用されるために。モニタリング、品質の検証、統計解析など、研究開発領域を技術で支えます。
スターワークスの対応領域
スターワークスでは製品の種類や分野を問わず、すべての業務フェーズにおいて「より効率的に」「より安全に」「より高品質に」業務に取り組みます。
<対応領域>
- 製品企画
- 開発計画
- 基本設計
- 詳細設計
- 施策・解析・評価
- 工程・設備設計
- 量産試作
- CS分析・品質保証
- 運用保守
まとめ
スターワークスでは時的な人材不足を解消するだけでなく、長期的・包括的に企業の技術戦略を支援出来ることが大きなメリットです。しかし、ただアウトソーシングを利用するだけでは思うような効果は得られません。これから新たにアウトソーシングを利用したいと考えているなら、“製品領域なのか業務知識なのか技術領域なのか、もしくは要素技術の調達先としてなのか、どのような計画的・戦略的支援が必要なのか”先ずは課題点や目的を明確にしましょう。